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誰も見ないで

第16章 全部知りたいのに


最近はもう見慣れてしまった
放課後に女の子達の視線を一身に受ける湊斗君をその視線の中から連れ出して家路につく

家までの道をゆっくり歩きながら、湊斗君は僕の顔を覗き込んだ


「瑞稀君どうかした? 元気ない?」
「えっ……」


それまで今日のネットニュースに上がってた話題で話してたのに、突然そんなことを言われ顔をパッとあげた


「ごめん、興味なかったかな」
「ううん!そういうんじゃないよ!」
「じゃあ……また何か悩んでる?」


図星をついた指摘に、僕は言葉を詰まらせる

それを肯定だと取った湊斗君は悲しそうな表情をした


「ち、ちが……あの……今日、湊斗君に話そうと……思ってて……」


僕がそう言うと湊斗君は安心したような表情を浮かべた


「そっか。いくらでも聞くから」


だからそんな顔しないで、と少し力の入っていた眉間を指で優しく押される


相談、と言うよりかは
聞きたいことがあるだけなんだけど

家までの残りの時間
覚悟を決めなきゃ


僕は袖に隠れたところで手をギュッと握った


「ただいま〜」
「ただいま」


家に着いて鞄を置くと
湊斗君は素早く座って僕に手招きをした

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