誰も見ないで
第16章 全部知りたいのに
あんまり待ってたら
返事を聞く前に死んじゃいそうだ
すると湊斗君が口をゆっくりと開いた
そして
「うん……本当……」
僕の言葉を肯定して
その小さな頭を縦に振った
鼻にツン、と痛みが走ったと思ったら
ダムが決壊するみたいに、一気に涙が溢れてきて
堪えるとかそんなこと考える間もなく僕の両目から信じられないほど大粒な涙が流れた
「なん……」
なんで
言ってくれなかったの
そう伝えたいのに
喉が塞がってしまったように声が出なくなって
もうだめだって
湊斗君から目を晒そうとした
その時
突然自分の身体が動いたと思ったら
次の瞬間には僕は湊斗君の腕の中にいた
「聞いて……!!! ごめん、俺の話、聞いてほしい……!!! お願い、ごめん」
ごめんなさい、と何度も謝る湊斗君
何で謝るの
何に謝ってるの
血を流し続ける胸の痛みがどうにも取れなくて
強く抱き締められたその衝撃で
バラバラに砕けてしまいそうだった
でも
聞いてって
湊斗君が
湊斗君の方を見て話を聞かなきゃ、と本能的に思って顔を向けようとしたけど
抱き締められているこの状態で湊斗君の顔に自分のかおを擦り付けるだけ