誰も見ないで
第2章 嫉妬
「最初に言っただろ。悲しませるようなことをするなって」
「……うん」
悲しむ、よね
俺がこんなにダメダメなんじゃ
でも
そっか
紺野君俺のこと好きなんだ
自覚した途端、嬉しさがじわじわ湧き上がってきた
「ニヤけるな」
「ん……ごめ……」
正樹に怒られたけど、俺の顔が緩むのは止められない
すると
「湊斗」
正樹が俺の名前を呼んだからそっちを向くと
「なに?」
何故かすごくいい笑顔で笑っている
「湊斗にいいもの買ってあげる」
「え……俺正樹みたいに甘党じゃないよ」
「誰がデザートなんか買ってやるって言った」
「でも正樹の言う良いものって……」
すると正樹は「待ってろ」と言って普段全く寄らない本屋さんに入っていった
そして暫くすると何かを買って帰ってきたんだけど
「?」
本屋さんの女性の店員さんが正樹を見て騒いでる
いや、それ自体は割といつものことなんだけど今日のはそれよりもっと……なんか、変な感じ
「お待たせ。はい、あげる」
「ありがと? ねぇ正樹店員さんに何かしたの?」
「いいんだ。もうあの本屋には行かないから」
「?」
意味はわからないけど、正樹は貼り付けたような笑顔をしていた