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誰も見ないで

第18章 最後の


向かい合わせになった瑞稀君の顔を両手で挟んで俺の方を向かせると、左右に逃げ場がなくなった顔が前にいる俺の方へと動いて


「!」


ちゅ、と触れるだけのキスをした


うわ
瑞稀君から……っ


嬉しさのあまり放心する俺の肩に瑞稀君はこてん、と頭を預けてくる

そして


「……嬉しくて」


と小さな声で呟いた


「最近勉強してばっかりで一緒にいられなかったから、こうやって出掛けられるのが例え学校行事でも嬉しくて」


はしゃいじゃった、と恥ずかしいのか顔を隠そうと俺の首筋に押し付けてくる瑞稀君

俺はそんな瑞稀君をぎゅっと抱き締めた


「……俺も……俺も、瑞稀君と一緒に出かけられてすごく嬉しい」


自分の気持ちをちゃんと伝えると、少し身動ぎした瑞稀君がぽつりと呟く


「このままどんどん時が過ぎて、進路が決まって、湊斗君と離れ離れになるのかもって考えたら、すごく不安だったんだ……」


その言葉に俺はハッとなった


「残りの時間が少ない分一緒にいて少しでも湊斗君と話したりしたいけど、ずっと一緒にいるためには僕だって頑張らなきゃいけないしって……矛盾してるよね」


俺は抱きしめる腕を少し強める

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