
誰も見ないで
第18章 最後の
顔を上げた瑞稀君の額にちゅ、とキスして
「うん。矛盾してる」
と言い切ってから
顔の筋肉の力を抜いて、緩みきった表情を瑞稀君に晒した
「でも、嬉しい」
「嬉しい?」
「嬉しいよ。だって、瑞稀君が悩んでるの両方俺のことだから」
俺と一緒にいたい
でもその俺と一緒にいるために今頑張らなきゃいけない
「……それはそうだよ。だって……」
瑞稀君がまた俺の肩に頭を預けてくる
俺はそれに擦り寄るように頭を寄せた
「僕の世界の中心は、湊斗君なんだから」
かわいい
かわいいから
俺も離れるのが本当は不安だったってことは、言わないでおこう
離れ離れになる時のことなんて考えたくない
今一緒ににいるんだから、とりあえずはそれだけでいい
未来のことはその時が来たらまた考えよう
どうせ今考えたって何の意味もないんだから
「俺の中心も、当然瑞稀君だよ」
「当然?」
「うん、当然。だって瑞稀君以外は視界に入ってすらいないからね」
「ふふふ、視界に?」
嬉しそうに俺の言葉をおうむ返しする瑞稀君を甘やかすように背中を撫でる
「そうだよ。俺の目には瑞稀君しか入らないの」
