
誰も見ないで
第18章 最後の
俺の言葉に一瞬きょとんとした表情を見せた瑞稀君
でもその表情はすぐに嬉しそうな顔に変わった
「うん! 僕も楽しみ」
朝からこんな笑顔を見れて幸せだな
じゃあ早く準備しなきゃ! とキッチンへと向かっていった瑞稀君の後ろ姿を眺めながら、俺はゆっくりと身体を起こした
2人で一緒に朝ご飯を食べて、歯を磨いたり顔を洗ったりして、決めていた服に着替えて
2人揃って家を出た
現地集合現地解散の遠足のため、これまでみたいに学校からバスにのるわけじゃないから駅へ
「混んでるかな」
「んー……通勤時間だし、混んでるかもしれない」
ラッシュ、と呼ぶには少し早い時間だけど、混んでないなんてことはないだろう
と思っていたら、ホームに入って来た電車を見てため息が出そうになった
やっぱり混んでる
とにかく瑞稀君を守らなきゃ
身長の高い俺がちっちゃい瑞稀君を、と意気込んで電車に乗り込み
「湊斗君大丈夫?」
「……ん、大丈夫だよ」
壁際でとにかく瑞稀君に負荷がかからないように膝で耐えた
こんなに押さなくてもいいのに……っ
いや、仕方ないんだろうけど
そんなことを耐えること数駅分
乗り換えで下り電車になれば、ある程度空いて楽になった
