誰も見ないで
第18章 最後の
「特別なものなんだね。嬉しい」
すると瑞稀君は袋の中のテディベアを撫でながらしみじみとそう呟いた
「運が良かっただけだけど、瑞稀君が喜んでくれて嬉しいよ」
「大事にするね」
早くもう一度袋から出したい、と顔に書いてある瑞稀君を見てちょっと笑った
瑞稀君なら本当に10年後とかも持ってそう
そんなことを考えながら、大和君にもお土産買って行くと言い出した瑞稀君の買い物について歩く
テディベアを先輩に買おうとした瑞稀君を止めて、甘くないお菓子を選んだところで俺たちは
「じゃあ時間もなくなってきたし、最後のところ行こっか」
マップを見るまでもなく目に入っている観覧車を改めて見た
「うん!」
元気のいい返事をした瑞稀君の荷物を少し預かって、歩き出す
観覧車はちょっと並んでたけど、少しだけ早めにきたおかげでまだそこまでたくさん人が並んではいなかった
それにしてもやっぱりカップル多いなぁ
でもまぁ、友達と長い間密室っていうのは気まずいのか
いや、俺は正樹となら別に気まずくならなそうだけど
次々と丸いボールみたいな乗り物に乗り込んで行くカップルを見送る