誰も見ないで
第18章 最後の
そして俺たちの番
「お足元お気をつけ下さーい。ーー閉めまーす」
ちょっと間延びした感じのスタッフさんに中へと入れられて
車のスライドドアみたいなドアがガチャン、と勢いよく閉められた
一気に閉塞感のある空間にかえられたところで、瑞稀君がちょっと驚いた様子で口を開いた
「あんなにゆっくり動いてるのに、乗り込む時はちょっと忙しない感じなんだね」
あぁ、それで
俺は言った後に笑顔になった瑞稀君に吊られるように笑った
「止まってくれるわけじゃないからね」
普段動いてる状態で乗るものなんてないし、こういうところならではって感じがする
「乗り場がもうあんなに遠い……」
観覧車の円が大きいから、高さはいかなくても乗った場所からはすぐに離れてしまって
「ほんとだ」
だんだん遠くなる人の群れを暫く瑞稀君と一緒に眺めた
「ねぇ瑞稀君、隣いってもいい?」
そしてそう声をかけると、瑞稀君は照れたようにでも嬉しそうに「うん」と頷いてくれる
ギ、と小さな音を立てながら俺が立ち上がると、瑞稀君は
「わっ……揺れる」
とどこか捕まる場所を求めて手を彷徨わせた