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誰も見ないで

第18章 最後の


俺の手から離れた瑞稀君の手がきゅ、と膝の上で結ばれて

かわいい

なんて余計なこと言ったら、きっと怒られちゃうだろうな


「この観覧車の話……聞いた?」
「観覧車の話?」


一応考えてはみたけど、誰かが話してるのもネットで見たのも含めて何か思い当たるようなものはない

俺が「聞いてないと思う」と首を横に振ると、瑞稀君はちょっとだけ顔をうつむかせてでも俺の方をちゃんと見ながら


「この観覧車、噂……というか、ジンクス? があって……」
「ジンクス……?」
「観覧車の天辺でキスをしたカップルは、ずっと一緒にいられるんだって」
「!」


瑞稀君のもじもじしてた理由がわかった


そんなかわいい理由だったなんて


「クラスの女の子達が話してるのを聞いて……だから……あの……」


とうとう視線まで下に行ってしまって目の合わなくなった瑞稀君

でも目が合わなくて良かったかもしれない
俺、今絶対変ににやけてる


「瑞稀君はそういうの信じる方なの?」


なんとなく興味が湧いて聞いてみると、意外にも首は横に振られた


「ううん。普段はそういうの信じない。というか、興味もないかも」


それなのになんで

って疑問は口に出すより前に瑞稀君に伝わったらしい

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