誰も見ないで
第18章 最後の
「……ん、うん……」
瑞稀君が嬉しそうに頷いた
この鼻声はまた涙が出てきてるのかもしれない
「でも、こんなジンクスに頼るよりももっと確実に一緒にいる方法があるよ」
「?」
身体を離すと、案の定瑞稀君の顔は涙で濡れていた
「知りたい?」
「知り、たい……っ」
俺の袖を左右それぞれの手でぎゅ、と掴んだその姿は本当にその意思が強いことを感じさせる
「なら俺に、どうしてほしいか言って」
「え……?」
意味がわからない、というように瑞稀君が首をかしげる
「一緒にいてって、俺に言って」
誰が考えたのかもわからない
適当なおまじないなんかより
絶対
「俺がそれを何がなんでも叶えてみせるから。瑞稀君が俺に、ちゃんと言って」
「……っ」
俺の言っている意味がわかったらしい瑞稀君の顔が、少しだけ赤く染まる
「ほんとに?」
「本当に」
「絶対……?」
「絶対」
力強く頷く俺を見つめる瑞稀君の表情が、少しずつ変わっていく
その顔が
何も言わなくたって「湊斗君好き」って言われてるみたいで
俺は自然と笑顔になった
「ほら、言って。おまじないより強く、言葉で俺の未来を縛って」