誰も見ないで
第18章 最後の
俺の言葉に、瑞稀君がこくん、と唾を飲み込んだのがわかる
そして、ゆっくりと開いた
小さくて
かわいい
唇が
俺の一生を縛る言葉を口にする
「湊斗君の事が、好き……だから、ずっと……そばに……いて下さい」
ちゃんと俺の目を見て紡がれたその言葉が、俺の中に染み込むように入ってきて
「俺も瑞稀君が好きだよ。だから……ーーはい。ずっと、一緒にいよう」
本当に俺の未来を縛って貰えたような気がした
「……っ」
「泣かないで、瑞稀君」
「ちが……っ、あの、う……嬉しくて……っ」
涙を流しながら笑う瑞稀君がかわいい
ずっと見ていたい
って、そう思うけど
残念ながら観覧車はもう終わり
もう1回乗るには並んでる列が長いし、集合時間も近い
続きは家に帰ってからかな
「瑞稀君、はいハンカチ。もうすぐ着いちゃうから、ちゃんと拭いて」
その顔、俺以外に見せないで
「……うん。ありがと」
「擦っちゃだめだよ。腫れちゃうから」
「……ん……」
「ふふっ……それじゃ擦ってるよ。貸して?」
日が傾いた夕暮れの観覧車の中
オレンジ色に照らされた瑞稀君た交わした約束を、俺はきっと一生忘れないだろうと思う