誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
とりあえず今日はここまで、と明日発送する荷物に宅配便の紙を貼って座っていた瑞稀君の横に座る
瑞稀君は俺がいなくなってもこの部屋に住むみたいだから、俺の荷物全部送るんじゃなくて無駄なものは置いていく
とは言っても、生活に必要なものだけでも結構な量になるもんだよね
「お疲れ様」
「わ、ありがと」
座った俺に、瑞稀君が飲んでたお茶を差し出してくれてそれを飲む
出発まであと少し
半年ぐらい前はこんなにのんびり準備出来るなんて思わなかったな
学校はとっくに自由登校で
瑞稀君も俺も、学校には行かず家で過ごしてる
瑞稀君は入学前に大学から課された課題があるらしいけど、大して難しいものじゃなかったらしくもう終わったって言ってた
一緒に起きて
のんびり朝ごはんを食べて
笑い合いながら俺の荷物を準備して
瑞稀君は
「湊斗君の荷物がだんだん片付いていくのが寂しいな」
なんて言ってたけど
俺はそんなこと話しながら準備する時間すらないと思ってたから、ただただ嬉しい
反対に
こうやってのんびりする時間があるからこそ、離れる時に余計寂しくなるとも言えるけど
それでも、長く離れる前の期間ぐらいのんびり過ごしたっていいよね