誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
いつも2人でいるのと違う
テンポの速い会話に吊られて少しずつテンションが上がる
「じゃ、乾杯しよっか」
そう言った正樹が、実は今回のこの会を企画してくれた
「湊斗の門出を祝って……ーー」
「お前と瑞稀もだろ」
先輩が言うと
きょとん、と目を丸くした正樹と瑞稀君
少ししてから2人とも照れたように笑って
「湊斗と瑞稀君と、俺の門出を祝って! 乾杯!」
「「「乾杯! 」」」
湊斗の音頭で各々持ったコップを合わせる
それから飲み物に口をつけて
「ほんと、みんな進路が決まって良かったよね」
「うん、瑞稀君も正樹も勉強頑張ってたし」
「俺はそのせいでお預け食らったから、終わってくれて助かった……っ痛ぇな、蹴るなよ」
「余計なこと言うな」
「別にバレてんだからいいだろ」
良くない、と顔を赤くしながら先輩を叩いた正樹
仲が良さそうでなにより
「湊斗君、これ美味しいよ」
それに比べて瑞稀君は先輩の発言なんて慣れたものなのか、平然とご飯を食べてる
そんな瑞稀君に毒気を抜かれて俺もご飯を食べた
「あ、ほんとだ。初めて買ったところだったけど、もっと早く行っておけばよかったね」