誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
俺が一口食べてから感想を言うと、瑞稀君は嬉しそうに頷く
「ん、湊斗これ中学校の近くのとこの?」
「そうそう。俺行ったことなかったんだよね、すぐ近くに毎日行ってたのに」
「俺は一回ぐらいあったかな? でも懐かしいなぁ。用事もないとあっち行かないからね」
確かに駅とはちょっと方向が違うし、俺も今回久しぶりに行ったな
「湊斗君あそこの中学校に通ってたんだね」
「うん、瑞稀君は学区違うから隣のところだよね」
「中学の時の湊斗と言ったら、ファンに囲まれても何の集まりだろう? って抜けてきちゃうような感じでさぁ。いやそれは今も変わらないか」
ファンって……
なにそれ
度々言われる正樹からの良くわからない単語に困惑する
でも瑞稀君はそうじゃないみたいで
「想像できます……」
と苦笑いを浮かべている
なんだよ、2人して
囲まれてたなんて、そんなことないのに
囲まれてるって、俺の周りに人が集まってるって事でしょ?
あの時集まってたのは俺の周りだけじゃなかったもん
すぐ抜けられなくて
学校出るまで人だらけだったし
む、と唇を尖らせると正樹が俺の額をペチ、と軽く叩いた