誰も見ないで
第19章 誰も見ないで
至近距離で目を合わせながら発する俺の言葉は、まるで脅迫のようで
それでも瑞稀君は黙って聞いてくれてた
「俺のこと、ずっと好きでいて……他の誰にも流されないで……」
額を合わせて距離が近くなると
俺の顔を挟むように添えられていた手が俺の後頭部へとまわされる
いつの間に瑞稀君はこんなに穏やかな表情で笑っていただろうか
「忘れないし、ずっと湊斗君のこと考えてるよ。昔からずっと」
その言葉にひどく安心する
「俺のこと、好きでいて……俺のことだけ……ずっと……」
でも俺の口から止まらないのは
これが脅迫でも呪いでもいいから
ずっと瑞稀君を縛る鎖になったらいいって思うから
「誰も見ないで」
摺り寄せるように額を擦り付けられて、瞑りかけていた目を薄っすらと開けると
「!」
ちゅ、と触れるだけのキスをされた
「湊斗君のことしか、見えないよ。例え地球の裏側にいたって」
「……うん」
俺が返事をしたところで、俺の乗る飛行機の搭乗開始を知らせるアナウンスが鳴り響いた
「……行かなきゃ……」
そう言うと、瑞稀君の手が俺の頭から離れて俺の手に移った