誰も見ないで
第20章 誰も見せない
悪戯な笑顔を浮かべて言われた提案に、想像して笑ってしまう
瑞稀君が英語喋ってる姿
かわいいなぁ
「冗談やめてよ」
「悪かった。まぁ、半分本気なんだけど」
父親の会社を継ぐ為に勉強していたらしい友人は、やれやれ、とため息をついている
「でも俺がなんて言ったって、ミナトは帰るんだろ」
「うん。漸く明日」
日本とは違う時期、一足先に卒業した俺は瑞稀君に内緒で明日日本に帰ることになっている
元々近々帰るからって荷物は少しずつ送ってたんだけど
明日、秘密で会いに行きたくて
日本での就職先への挨拶とか
色々やらなきゃいけないことは山積みだけど
そんなんじゃなくて
どうしても明日、会いたい
「連絡しろよ、俺たちにもちゃんと。第二の故郷ぐらいには思ってくれたっていいだろ」
「うん、もちろん。たくさん連絡する」
「あーあ……明日の空港はあいつらの涙で一杯だろうな」
「涙? 泣いてくれるの?」
「俺じゃなくて。クラス同じだった女子らがさ」
俺は首をかしげる
「何故?」
「これだからミナトは。お前との別れを惜しんでに決まってる。みんなお前のことが大好きだからな」
「俺もみんなのこと好きだよ」