誰も見ないで
第20章 誰も見せない
夜になったら起きて、軽食を食べてから全ての荷造りを終わらせた
日付が変わるよりも早くに出なきゃいけなくて、真っ暗な時間に寮の出入り口に向かうと
「!」
そこには、お世話になった友人や、クラスメイトが集まっていた
「ミナト! 今までありがとう」
「日本でも元気で」
「体調崩さないようにね」
「絶対連絡してよ?」
口々にそう言ってプレゼントを渡してくれる彼らに、鼻がツン、と痛んだ
「ありがとう、みんな。またね」
瑞稀君にも、早く話したいな
俺がどんな風に過ごしたのか
遅くまで事務所を開けて待っていてくれた寮母さんに鍵を返して
大勢の友人に手を振られながら、俺は第二の故郷を後にした
空港に着くと、母さんたちからメールが入っている
『日本に着いたら連絡するのよ? 瑞稀君にもよろしく伝えてね』
『気をつけて帰りなさい』
別々に送ってくる意味あるのかな
なんて思いながらメールを見て笑って
返信しながら飛行機の出発時刻を待った
アメリカを出てから数時間
あっちでは日付が変わる前の夜中に出たはずが、着いた頃の日本はお昼まで数時間ってぐらいの時間だった