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誰も見ないで

第20章 誰も見せない


急がなきゃ


空港内を走ってあらゆる手続きをすませて
久しぶりの日本に懐かしさを感じる間も無く電車に飛び乗る


「……ふぅ」


間に合うよね
多分もう開会とかには間に合わないと思うんだけど


時計を見て
電車の乗り換えを確認して

を繰り返しつつ焦る気持ちを落ち着かせようと頑張る


向かう先は、日本でも有名な場所

スポーツの国際大会や全国大会から歌手のライブまで様々な催し物をするその会場で今日行われているのが

瑞稀君の大学の卒業式

人数が多いため、二部制で行われる卒業式の二部目が瑞稀君の参加する方

この情報自体はメールや電話した時に聞き出していて

俺はとにかくこれに間に合わせるためにありとあらゆる手続きをここまでにどうにか済ませてきた


お昼過ぎに開会式で、そっから1・2時間くらいやるかな、たぶん


電車の中で意味もなく走りたい気持ちに駆られつつ、俺はとにかく早く着いてと願った



電車が着くなり滑るように降りて、駅のロッカーに荷物を預けるとまた走って会場へと向かう


あぁ、大学生多い
けどこの人たちは多分午前の部の人たちだ


開会からはそんなに時間が経ってない
間に合う、よかった

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