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誰も見ないで

第20章 誰も見せない


周り見えてなさすぎるな


ちょっと反省しよう
と思って深呼吸

心を落ち着けてから見つめる視線の先


あぁ、でも
やっぱりダメだ


そこに姿が見えた瞬間にわかるんだから
俺はきっと瑞稀君に何もかも奪われる運命なんだ


視線も
心も

これから先一生

周りなんて見れっこないんだ


ずっとずっと会いたかった恋人の姿が見える
大勢いる人のせいでほとんどその姿は隠されてしまってるけど
俺にはわかる


けどなんか
他の大学生に混ざって出てくると
俺が今出て行くのなんか違う気がする

やっぱり友達とご飯行ったりしたいよね

どうしよう


さっきまでは一言だけでも声をかけたいとか思っていたくせに、突然不安になった


その時


「!!!!」


瑞稀君がふとこっちを見た
そしてそのまま動きを止めている


え……いや
そんなことないよね

そんなに距離近くないし
こんなに人だらけで


色々考えたことに結論を与える間も無く
瑞稀君は俺の方へと走ってくる


だめ

涙でそう


なんで

俺に気づいたの


「湊斗君!」


体当たりのような勢いの良さで瑞稀君は俺に抱きついた

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