誰も見ないで
第3章 好き
並んで歩いてみると紺野君は予想以上に小さくて、歩く速度が当然ながら正樹とは全然違う
テクテクあるく姿もかわいい
けど、ちょっとスピード落としてあげないと
「帰りにどっか寄ったりすることはあるの? コンビニとか」
「そうですね……本屋さんならよく行きます」
「本屋さんか」
紺野君らしいな
本とかすごく好きそう
「渡辺君は本とか読みますか?」
「んー……漫画と、たまに小説読むぐらいかなぁ」
家にある本棚の中身を思い浮かべながらタイトルをいくつかあげてみる
するとその中からいくつかは「それ知ってます」って紺野君から反応が返ってきた
本の趣味も似てるのかな
嬉しい
「紺野君がいつも寄る本屋さん、俺も行ってみたいな」
歩きながらそう言うと、紺野君が「えっ……」と驚いたような声を上げる
「? だめ?」
「い、いえ……ダメとかそう言うわけではなくて」
「なに?」
俯いた紺野君はもじもじ手を弄って
その後、思い切ったように
「放課後デートみたいですね」
と言った
放課後、デート……
デート
単語をゆっくり認識して
「……っ」
俺は顔の温度が急上昇したのを感じて顔を背けた