誰も見ないで
第3章 好き
デート
デートだって!!
今までの人生で経験したこともなかったその単語に、なんだか脳内ではパニック
「渡辺君?」
「ん……うん、そうだね。デート……デート、みたい」
にやけを止めるように両頬に手を添えてみるけど、全然効果がない
「本屋さん、こっちです」
「……うん」
落ち着け
俺は自分にそう言い聞かせながら紺野君に着いて歩いた
「ここです」
連れて行ってもらったのは見たことはあったけど入ったことのない本屋さん
ショッピングモールとかに入ってるようなところじゃなくて、ちゃんと一戸建てでやってるお店
「ここ、初めて入る」
「そうなんですか」
なんて会話をしながらお店の中へ
しんと静まり返った店内はそこだけ時が止まってるみたいで素敵な雰囲気が漂っている
俺たちはそこで端からいろんな本を見ながら
「あ、これ知ってる」
「本当ですか? 僕も読んだことあります」
「面白いよね、主人公がかっこいいし」
「わかります。かっこいいですよね」
なんて会話をして楽しんだ
お互いのおすすめとか、珍しいタイトルの本とかに食いついては笑って
そして、漫画コーナーに差し掛かった時