テキストサイズ

誰も見ないで

第3章 好き


本屋さんでは俺の勧めた本を紺野君が
紺野君お勧めの本を俺が買った

これでまた話せること増えたなって嬉しいけど、本って持って帰るにはちょっと重いよね


大丈夫ですって言いながら袋を持ち上げてアピールしてくれる紺野君はすごくかわいいけど


「貸して?」


俺は紺野君が重そうだからとかじゃなく持ってあげたいって思ったから、紺野君の手から袋を奪った


「あっ……」


持つよ、じゃなくて貸して、って言われると意外と人って簡単に渡しちゃうよね

それをわかってて取るのって意地悪かな


「僕持てますよ?」
「うん、わかってるよ。でもだめ、俺が持つ」


そう言いながらさっき聞いた紺野君の家の方向に歩く


ふふふ
申し訳無さそうな顔


それがわかってても俺は紺野君の荷物を返したりしないのは、当然紺野君ともっと一緒にいたいから

だってそうじゃなきゃ紺野君さっきの交差点で「それじゃあまた明日」とか簡単に言いそうだもん

そんなの嫌だよ
絶対家まで送る


けど紺野君がずっと申し訳無さそうな顔してるから、俺の紺野君情報収集に付き合ってもらおう


「ねぇ紺野君、好きな色は何色?」
「え……えぇと、そうですね……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ