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誰も見ないで

第3章 好き


わざわざ授業が始まる前に入り口のところに来てるんだから、すごい人気だよね


そんなことを考えながらぼーっとしていると


「湊斗!」


正樹が珍しく話しかけて来た

女の子達の歓声がまた上がる


人に話しかけただけでこれって
どういうことなの


「眠いのは治ったのか?」
「んー……いや、眠いよ」
「そう。あ、よく見るとクマがある」


そう言いながら俺の目元に指で触れる正樹

するとまた一段と歓声が上がって、俺はむっと眉をひそめた


絶対わざと


「遊ばないでよ。やるなら他の人とやって」
「湊斗とやるからみんな喜んでくれてるんだよ」
「なにそれ」


紺野君が見てたらどうしてくれる


すると先生がホイッスルを吹いて、集合がかかった

そっちに向かって歩き始めると正樹がこそっと


「今日バスケだよ。紺野君にいいところ見せられるね」


と耳打ちして来た


いいところ……

確かに球技は得意だけど

頑張ったら紺野君にかっこいいって思ってもらえるかな

それなら、頑張ろう


いつも以上に気合の入った俺はいつもより真面目に柔軟体操をした


授業って言っても先生に教えてもらうことがほとんど無いから、時間の殆どは試合形式のゲーム

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