誰も見ないで
第3章 好き
恋をすると景色の見え方も変わるって言うけど、それって本当だよね
信じてなかったはずなのになぁ
世界がキラキラ、とか
本当にそう見えるから困る
なんとも思ってなかった屋上が特別な2人の場所になって
他の誰かが入ってくるのが嫌なくらいだし
屋上から見える景色は輝いてて
いつもの街並みとは全然違って見えるし
話せなくても一緒にいられる教室や、今までなんとも思わなかったつまらない授業も
全部幸せで
楽しくて
学校行くのだって全く苦じゃなくなった
早く起きての通学も、紺野君のかわいい寝顔が見れるなら全然構わない
ほんとに
好き
こんなに好きになる人が出来るなんて思わなかった
生きてるだけで幸せ
って、それは言い過ぎかなぁ
「ねぇ紺野君」
「はい?」
なんだか、土日に離れるのも
寂しいから
「土日、予定ある?」
一緒にいたい
「ない、です……けど……」
だから
「それなら、土日のどっちか俺とどこかに出掛けない?」
「!」
紺野君の顔が驚きに染まる
俺の心臓は紺野君の返事を待ってドキドキした
断られたらどうしようって言うのを言ってから考えるなんて、馬鹿みたいだ