誰も見ないで
第1章 告白
「観念して食べなさい。お昼ご飯抜いたら午後の授業でお腹鳴っちゃうよ?」
「……っ」
目の前のご飯をじっと見つめる紺野君
暫くそのままの体勢でいると、俺に引く気がないのがわかったのかゆっくり口を開いた
「それじゃ入んないよ? もうちょっと」
「……は、い……」
「うん、いい子」
俺が口の中に食べ物を入れてあげるとぱくん、と口が閉じる
ふふ、なんか小動物に餌付けしてるみたい
かわいい
ん?
かわいいって……男の子には失礼かな
「はい次。あーん」
「へ……あ、渡辺君、も……」
「先に紺野君」
「は、はい……」
なんだか楽しくなってきた俺はそのままぱくぱく食べさせて、途中から交互に俺も食べて
大きなお弁当をペロリと平らげた
「はー……美味しかった。ご馳走様でした」
お腹いっぱい
午後は眠くなっちゃいそう
そんなことを考えてる間にも紺野君はせっせとお弁当を片付けてくれてて
「片付けまでさせちゃったね、ごめん。ありがとう」
申し訳なさからそう言うと
「こちらこそ、食べてくれてありがとうございました」
なんて謙虚な返事をされてしまった
もっと偉そうにしてもいいのに