誰も見ないで
第4章 真実と真実
不安になって携帯で周辺地域のニュースを探したけど、特に交通事故とかは検索でヒットしない
ってことは、大丈夫だよね
駅前の交番についてる掲示板の事故件数も怪我人、死亡者数も全部0
昨日の表示に怪我人が1になってるけど、それはさっきネットで違う人だって確認したから紺野君じゃない
そしたら風邪とかで連絡出来ないとかもあるかな
それならそれでいいんだけど
そう考えてる時点で時刻はもう約束の時間から1時間が経過していた
強い日差しが当たって、夏でもないのに汗が垂れる
こんな状態で会ったら、紺野君に嫌われちゃうかな
今の俺、相当汗臭そう
って心の中で笑ったけど、その時初めて紺野君に嫌われたって可能性が頭に浮かんだ
もしかして、俺のこと嫌いになったから学校も来なくなっちゃった?
メールや電話に出ないのも、俺が嫌だから?
涙が滲んで俺は下を向いた
……やばい
なんか、お腹の調子が悪い……かも
でも目を離した隙に紺野君が来てたら困るから、駅のトイレに行ったりもしたくない
まだちょっと調子悪いぐらいだし、我慢
俺はネガティブの沼に落ちた自分の思考を取り去るためとにかく目の前を流れる人の波を見続けた