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いらっしゃいませ……

第2章 お待たせしました……

トイレは男女別に別れている。

「…夏子さん?」

ドア越しに声をかけるが、返事がない。

「もしかして具合悪いんですか? 大丈夫ですか?」

「……」

やばいな、返事がない。
僕は慌ててドアをノックしてみた。
だけど物音ひとつしない。

「…どうするか…」

僕は試しにドアのノブを回してみた。

「えっ…」

ドアに鍵がかかっていない。
少しためらったが、思いきってそのまま開けてみた。

「!」

そこに夏子さんはいなかった。
ドアを閉めて、鏡の前で考え込む。

もしかして僕が缶ビールをカゴに入れている間に出てきていた?
でも店内にはいなかった。
一体どこへ…。

そう思ってふと鏡に目をやると、背後に夏子さんが立っていた。

「…びっ…」

……びびった。
一気に血の気が引いた。

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