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いらっしゃいませ……

第1章 いらっしゃいませ……

「……ごまーい……ろくまぁぁぁい……」

なんなんだろう、この女は。
ふざけてやってるんだろうか。

「……ななまぁぁぁい……」

僕は他にも店員がいないか辺りを見回した。
誰かがいる気配はしない。だけどもしかしたら奥の部屋に誰かいるのかもしれない。客は僕だけだし、もしかしたらからかって遊んでるのかもしれない。
そう思ったら更に腹が立ってきて、

「あの、早くしてもらえませんか?」

僕は言葉をきつく言い放った。
いや、当たり前だ。
こんな接客はありえない。

「……すみません……まだ……慣れてないもので……」

女は10円玉を数える手を止めた。

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