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いらっしゃいませ……

第1章 いらっしゃいませ……

僕は女の言い訳に思わず「は?」と声を出してしまった。

「いや…慣れてる慣れてないの問題じゃなくて、見ればすぐわかるよね?」

「………でも、数えないと……」

「はあ? 120円だよ。10円玉12枚だよ。小学生でもわかるっての。てか100円玉ないの? なんで全部10円玉なんだよ」

「……………」

一気にまくし立てると、女は俯いたまま黙ってしまった。いや、さっきから俯いたままだが…。

「…もういいや、10円玉でいいからお釣りくれる?」

僕は片手を女の前に出して、お釣りを催促した。
こんな所で時間を潰してる場合じゃない。
僕は早く家に帰ってゲームがしたいのだ。

「………」

しかし女は僕にお釣りを渡そうとしない。

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