マリア
第8章 追奏曲
翔side
すっかり日も落ちて、辺りが薄暗くなりかけていた帰り道。
サッカー部の仲間たちと一緒に帰る気にもなれずに俺は、暫し足を止め星が瞬き始めた空を一人見上げてため息をついていた。
なすすべもなく走り去る智を見送ったあと、練習に戻った俺は、
普段、抜かれることのないヤツに難なくディフェンスを突破され、ゴールを決められて落ち込んでいた。
…最低だ。俺。
あんなこと、智に言うつもりなんてなかったんだ。
なのに、いざ、智の顔を見たら、
智があのイケメン精神科医に俺と礼香のことを相談していた、ってことが頭を過って…
智を…泣かせてしまった。
『もう、会わない…。』
智…
ごめん。
もう…遅いのかな?
もう…戻れないのかな?
『友達』に……。
不意に目の前に佇む気配にもしや、と思い、慌てて前に向き直る。
和「大丈夫ですか?」
…二宮和也。何でこいつが…。
素早く視線を逸らし足早に彼の体を避けるように行き過ぎようとした時だった。
和「俺でよかったら、慰めてあげよっか?」