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マリア

第8章 追奏曲



和「せっかく謝ってるのに、どうして怒るの?」



しまいには、目を潤ませて泣きそうな顔になった。


我慢できなくなった俺は、二宮の体をベッドに押し付け、上から睨み付けた。



「お前…いい加減にしろよ。」


和「『僕』の方こそ『翔くん』の言ったこと、許してあげる、って言ってるのに…?」



『智くん』の頬を涙が伝い落ちる。



和「どうして…どうして許してくれないの?」


「…やめろ。」


和「いいの?昔みたいに戻れなくても…?」


「やめろ、って言ってるだろ!!」





…いいんだよ、戻れなくても。



全然、構わないんだよ。





友達同士に戻れなくても。





だって、俺…





「…好きだ。」


和「『翔くん』…?」



『智』に覆い被さり、折れそうなほど、『智』の体を強く抱きしめた。



「好きなんだ…。」


和「しょ…くん…?」





もう、友だちでなくていい。



幼なじみでなくていい。





智、君のことが…



「好きなんだよ…。」





自分の想いを焚き付けるみたいに、『智』の唇に何度も何度もキスをした。





和「『僕』も…」



俺の背中に回される腕。









溢れ出る想いは、もう、




止められそうになかった。



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