マリア
第9章 傾想曲
「先生、僕、手伝います!」
食器をキッチンに運ぼうとする先生を呼び止める。
潤「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、ゲストに手伝わせるわけにはいかないから。」
座ってていいよ?と、松本先生は背中を向けた。
「あ、あのっ!!」
潤「ん?今度はどうしたの?」
「今日は…突然お邪魔したうえに、おいしい食事、ありがとうございました。」
潤「ああ、気にしないで?料理は好きでやってるだけだし。」
「でも…忙しいのに、わざわざ時間作ってもらったし…」
潤「ふふっ。こういった機会もたまにはないとね?料理の腕が鈍るから。…美味しかった?」
「え?…あ、はい。」
たまに…?
やっぱり、二宮くんと食べたり、ってしないのかな?
潤「それはよかった。また遊びにおいで?ご馳走するから。」
「えっ!?で、でもっ!!」
潤「アップルパイ、美味しかった、って、お母さんに伝えて?」
「は、はいっ!!」
ゆっくりしてって、と、先生はキッチンに入っていった。
リビングに戻ると、ごろん、とソファに寝転がって、つまらなさそうにゲームをする二宮くんがいた。