マリア
第9章 傾想曲
「へ、へぇ…?」
和「追いかけねぇの?」
「な、何でだよ?」
和「兄貴とヤったかどうか知りたくないの?」
「はあ?一体、どんな顔して聞くんだよ?」
和「普通に聞いたらいーじゃない?アイツとヤったの?って?」
「だから、ヤるわけねぇだろ?一緒にすんなよ?」
和「一緒だ、って?」
ゲームを脇に避けて立ち上がり、両腕を俺の首へと纏わりつかせた。
和「『先生、好きです。僕を抱いてください。』って?」
「それこそ、言うわけないだろ。」
俺に纏わりつく二宮の腕をほどき、上着を羽織る。
和「ふーん、じゃ、アンタは一生大野さんに片想い、ってことだ。」
「…別に、それでもいいけど…。」
和「へーえ、じゃ、ウチの兄貴とセックスしてる大野さんのこと、指を咥えて見てる、ってことだね?」
「オマエ、いい加減に…」
和「じゃあ、さ、いっそのこと、無理矢理ヤっちゃう、とか?」
「……っ!?」
和「んふふふ。そこは黙ってんだ!?」
「………。」
何も…言い返せなかった。
二宮の言葉を聞いた瞬間脳裏を掠めた、
子供のように無邪気に笑う智が、
俺の下で淫らに喘いでいる姿。