マリア
第2章 前奏曲
雅「ええっ!?まだ、ままごとみたいな恋愛してんの?」
だっさ、と、雅紀はタバコを咥えたまま仰向けに横たわった。
「…るっせぇな。」
昼休みの屋上。
初夏の陽射しが降り注ぐ中、
俺は、同じ中学からの親友の相葉雅紀と過ごしていた。
雅「でもさあ、チューはしてるんでしょ?」
「…うん。」
雅「が、そこから先は、彼女が病気だから難しい、ってワケね?」
「まあ…」
いいところで邪魔も入る、ってのもあるし…。
そう、いっつもその先へ行けそうな時に智が現れる。
まるで、俺と礼音が部屋で何をしているか全部見てたんじゃないか、ってぐらいに。
でも、仮に、出来たところで礼音は病人。
抱けるわけないしな…。
手摺に凭れ、のんびり流れる雲を眺めながら、焼きそばパンにかぶり付いた。
雅「彼女、心臓が悪いんだっけ?」
「ん。」
雅「ふーん…。」
雅紀は、タバコを咥えたまま黙りこんでしまった。
雅「でもさあ、ヤってヤれないことはないんじゃない?」
「お前さあ、ヤるとかヤらないとか言うなよ!?」
雅「ごめんごめん。でも、俺、どっかで聞いたことあんだよね?心臓悪くても出来ないことはない、って?」
「えっ…?」
食いかけのパンを握りしめたまま振り返って雅紀を見た。