マリア
第10章 夜想曲
潤「ごめんね?みっともないところ見せちゃって?」
「あ…いえ、全然。」
いつもの先生の顔。
僕が知っている先生の顔。
今さらだけど、
あんな先生、見たくなかった。
潤「どうしたの?僕の顔に何かついてる?」
「えっ!?べ、別に?」
潤「あれから妹さんとは話せた?」
「全然…話せてない……です。」
潤「そう。」
「あの…」
潤「うん?」
「また…今度にします。」
瞬間、先生の顔が曇る。
「先生、疲れてるみたいだし、それに…」
潤「それに?」
それに、先生のあんな姿見ちゃったら、僕の悩み事なんかで気持ちを煩わせたくない。
「せっかくのお休みです。ゆっくり休んでください。」
今度は困ったように笑った。
潤「参ったな。ま、しょうがないか?あんなところ見たら誰だってそう思うか…。」
「ご、ごめんなさい!!こんなこと言うつもりなんてなかったんですけど…」
潤「いいよ?気にしないで?」
やっぱり……
潤「今日は楽しかったよ。」
先生は……笑った顔の方がいい…