マリア
第10章 夜想曲
えっ!?「好き」…?
「好き」って…まさかの…
男女の間の好きとか嫌いとかの…好き、ってこと?
それまで、無造作に身を投げ預けていた自室のベッドから飛び起きた。
先生は男。
かく言う僕だって男…。
「ウソ…。」
はあーっと、大きく息を吐きながら、また、ベッドに体を括りつけるようにその身を沈めた。
…重症だ。
女の子とまともに付き合ったことだってないのに、
ましてや、初めて本気で好きになった相手が…男の人なんて。
………。
僕、もしかしてヤバいのかな?
男の人を好き、なんて…。
でも、先生の間近に覗き込んでくる綺麗な顔や、笑った顔。
時折見せる困ったような顔。
優しく頭を撫でてくれる大きな手。
耳に心地いい声。
柔らかい物腰。
先生が纏っているもの。
それら全てにどきどきしてる。
側にいると息苦しくなるから逃げてきたのに、
会いたくて……たまらない…。
お願い…
誰でもいいから違う、って、
恋とかじゃない、って言って?