テキストサイズ

マリア

第10章 夜想曲



かと思えば、気のせいか、と思わせるぐらいに、二宮くんはさっきの不気味な笑いとは打って変わってあどけない表情を見せた。



和「なぁーんてね?今日の大野さん見てたら、いくらなんでもそれはないよね?」



と、明るく笑い飛ばす。





『人殺し』…





不意に松本先生の話を思い出してしまった。





その時の二宮くんは、一体どんな顔してたんだろう?





でも、時々見せる冷たい表情。





もしかしたら、こんな顔だったのかもしれないと、


ついつい彼の顔に見いってしまった。





和「何?俺の顔に何か付いてます?」


「あっ!?ううん?」


和「ふーん、俺に見惚れてんのかと思ったのに…ざーんねん!!」


「ふふっ。ごめんね?でも、二宮くん結構可愛いから。」


和「あら、そう?じゃ、なおのこと、俺に惚れないでくださいよ?」


「えー!?ダメなの?」


和「そうでなくとも俺、モテモテなんですから。大野さんまで、ってなると俺の体がいくつあっても足りないよ?」


「そっか…そうだね?」




二宮くんは意識しているのか、



重くなりかけた空気を上手く嗅ぎ分けて明るく振る舞う。





松本先生とは違った意味で気になってしまう。





二宮くん…



君の本当の顔は、










どこにあるんだろう……?



ストーリーメニュー

TOPTOPへ