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マリア

第11章 変奏曲 ①



それからもあの女は頻繁にアイツのもとに来てるみたいで、



アイツが部屋に居なくても下の階からしょっちゅう人の気配を感じた。



別に聞き耳を立てていた訳じゃないけど、夜、ちょっとベランダに出た時に下の部屋から漏れている明かりや、クラシックの音楽。



ホントに耳をすまさないと聞こえないような流水音、






そして、



一度も聞こえたことはないけど、



間取りがアイツの部屋と全く同じだから、



ちょうど真下で、アイツらがセックスしているような気配、だとかが、





ベッドに潜り込んで耳を塞いでいても聞こえてきそうな気がして、頭がおかしくなりそうだった。





しばらく、眠れない夜が続いたせいでイライラがマックスになっていた俺は、何限目かの授業をサボって屋上で昼寝をしていた。



ホントは保健室の方がよかったんだけど先客がいたし、外は天気もよかったしで、



たまにはいいかな?と思って、俺には珍しく爆睡していた。



しばらくすると、



どこからともなく漂ってくるタバコの匂いにめちゃくちゃ噎せて、完全に目が覚めてしまった俺は、



手摺に凭れ、気持ち良さそうにタバコの煙を空に向かって吐き出す男の背中を睨み付けた。



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