マリア
第2章 前奏曲
「と、とにかく、もうこんなことしないの!!分かった?」
礼「…つまんないの。」
礼音はベッドヘッドに凭れ黙り込んでしまった。
子供の頃は、まるで挨拶するみたいにしていた礼音とのキス。
久しぶりのキスにびっくりしたのと、
遠目で見ても、目鼻立ちがくっきりして綺麗な顔立ちの礼音に、
実はスゴくドキドキしてしまって焦っていた。
僕と礼音は双子、と言っても二卵性で、顔はそんなに似ていない。
派手な顔立ちで美人顔の礼音。
対して、派手さはないものの、
女の子のような顔立ちの僕。
そんな子供の頃の僕らに付けられた呼び名は、
『双子の王子さまとお姫さま』だった。
礼「翔くん、私のこと、キライになったりしないかな…」
「何で?」
礼「だって、こんな体だし、長く生きられるかどうかも分かんないし…」
「礼音!!」
礼「…ゴメン。」
俯き、シーツを握りしめる、白くて細長い指先。
「もしかして、翔くんに何か言われた?」
礼音は泣きそうな顔で首を振った。
礼「何で?」
「今日、電話で少し話したんだけど、翔くん、何だか変だったから…。」
礼「そうなんだ…。」
「どうなの?」
礼「あった、って言えばあったけど…。」
礼音は、頬を真っ赤に染めて口をもごもごさせた。