マリア
第12章 追走曲
和「想っても振り向いてくれない人をいつまで追っかけてんの?って話。」
「…そうだよな?」
…ましてや男だ。
智…
智……
智………!
その時、唇にフワリ、と何かが乗っかって、すぐに離れた。
「に、二宮っ…!?」
予想だにしなかった二宮の行動に驚き、体を押し退ける。
和「無理しなさんな、って?」
「無理なんて……っ。」
和「…フラれたんでしょ?大野さんに?」
「……!」
視界が……滲んでゆく。
俺の目の前にあるもの全てが沈んでゆく。
和「ムリしないで、俺に甘えなさいよ?」
「だっ!?誰がお前なんかっ…!」
顔をあげた途端、
二宮に両手で顔を固定される。
和「俺にしとけば、メシはついてくるし、エッチはし放題だし…」
「ちょっと待て!?それじゃ、俺、雅紀と変わんねぇじゃん?」
和「そんなことないよ?あの男にはメシなんてただで食わせないもん。それに、アナタの場合、二杯目まではサービスする、って言ってるじゃない?」
「…ひょっとして、俺をメシで釣ろうとしてる?」
和「フフフ。バレました?」
二宮は面白そうに笑った。