マリア
第13章 夢想曲
笑った礼音の下弦の月のような形のいい唇に釘付けになる。
礼「ね…なあに?さっきから。」
「えっ?な、何が?」
礼「だって、ずっと私の顔見てるから…」
「そ、そんなこと…」
…あるけど。
礼「はい、じゃあ、口開けて?」
やっぱり、どうしても唇に目がいってしまう。
「アヤ、ごめん。もう、自分で食べるから。」
礼「そう?」
礼音の手から器を受け取り、お粥を口に運んだ。
「あっ…つぅ…」
礼「もー、ほら、やってあげる。貸して?」
僕から器ごとお粥を奪い取り、勢いよく息を吹きかける。
「アヤ、あの…さ…」
礼「んー?」
「アヤは翔くんとその…」
礼「翔くんと、何?」
疚しい気持ちからじゃなくて、
どうしても唇に目がいってしまう。
「翔くんと…どんなキス…してたの?」
礼「えっ?」
驚きのあまり、礼音はスプーンを取り落としてしまった。
「ごめん、アヤ。変なこと聞いて?」
礼「ホントだよ!?何で智が私と翔くんのこと気にするの?」
「な…なんと…なく…。」
…って、理由になってないよね?