マリア
第13章 夢想曲
ずっと顔を逸らしたままでいることは難しくて、
時折視界に入ってしまうと思わず手を止め思いっきり顔を逸らした。
そして、
どうにか下着を履かせ、パジャマを着せる。
疲れた…
僕は、やり遂げた安堵感からか、体の力が入らなくなり、ベッドに凭れかかるようにして床に座り込んだ。
そんな中、イヤでも目についてしまったバランスのとれた先生の体。
綺麗な、大人の男の人の体。
自分の骨ばった体とは違う引き締まった体に、
好奇心から、思わず触れてしまった。
高熱のせいで、忙しなく上下する逞しい胸板。
赤く、ふっくらした唇から繰り返される早い呼吸。
苦し気に閉じられた目を彩る長い睫毛。
神さまは意地悪だ…
こんなにも完璧な男の人と僕を引き合わせるなんて…
好きになったところで、
この人と僕の未来が、
一つになるわけないのに…。
先生の額に浮かぶ玉のような汗を拭っていく。
すると、瞼がゆっくりと開き、僕を見て笑ってくれた。
潤「ありが…と…」
その笑顔に、
涙が頬を伝う。
潤「なに泣いてるの?」
そう言って、笑ってくれた唇に
自分の唇を重ねた。