マリア
第14章 虚飾曲
智「じゃあ、今度甘いものでも食べにいく?」
「え……?」
と、甘い微笑みを浮かべながら俺の顔を覗き込む大野くん。
それ、って、まさかの……
智「今日のお礼に奢るから食べにいこ?」
…だよな?うん。
もう、ここでいいよ?と、
あと、数十メートルで大野くんの学校、ってところで、後ろ髪引かれる思いで大野くんと別れた。
後で、メールするからね?と、
手を振る後ろ姿を、曲がり角に隠れて見えなくなるまで見送っていた。
翔「スマホがどうかした?」
「へっ?な、何で?」
翔「さっきからずーっとスマホ眺めてるから。」
「あ、そっ、そうだね?」
一旦、ポケットに仕舞うものの、
また、取り出しては眺めていた。
翔「もしかして…二宮からの連絡待ってんの?」
何か言いたげにこちらを見る翔ちゃん。
「ん?あ、ああ、そうなんだよ!最近、忙しいみたいで会えなくて、さ?」
翔「ふーん……」
このときの俺は、
目の前の親友が、まさか、俺の恋人とデキてたなんて、
夢にも思っていなかった。