マリア
第15章 悲愁曲
「は……!?」
開いた口が塞がらない、とはよく言ったものだ。
言うことに事欠いて、俺と智が絡んでいる画が欲しい、なんて…
和「呆れてんでしょ?」
二宮は床にぺたりと尻を付けて俺を見上げた。
和「俺ね、見た目が綺麗なものが好きなの。」
「何だ、それ?」
和「まんまの意味よ?ほら、俺、って腹黒いじゃん?だから、余計に綺麗なものに惹かれんだよね?」
「腹黒い、って…自分で言うんだ?」
和「んふふふ。だって、そう思ってるでしょ?俺のこと。」
立ち上がり、バスルームに着替えやタオルを脱衣かごに放り込んだ。
和「分かったらさっさと帰って?出ないと雅紀に俺らがフリンしてることバレちゃうから。」
「…分かったよ。」
真っ裸に長めのパーカーを纏った姿のままの二宮が玄関にまでついてきた。
「何だよ?」
和「…忘れもの。」
手、出して、と、
二宮は智と松本の秘め事を一部始終納めたメモリを俺に握らせた。
「こんなもの、いらな…!」
和「…今はこんなものでも、アンタの望むもの何でも叶えてくれる打出の小槌になるかもよ?」
そっと、手の中にメモリを押し戻す二宮。
和「アンタと大野さんの濡れ場、楽しみにしてるから。」
言ってることとは不釣り合いな人懐っこい笑み。
「だから、それはっ…!?」
和「ほら!!つべこべ言わずにとっとと帰って!」