マリア
第15章 悲愁曲
しばしの沈黙のあと、カズは「分かった」と、小さな声で答えた。
が、そのカズの傍で人の気配を感じて、思わず誰?と聞いてしまった。
和『あ……ダ…ダメだって!?』
翔『もしもし、雅紀?』
え?翔…ちゃん?何で?
翔『俺もちゃんと…ちゃんと話したい、と思って…。』
「………。」
翔『その…俺と二宮…くんのことで…。』
は……「俺と二宮くん」………だって?
なに恋人気取ってんだよ!?
「ふっ…いたんだ?翔ちゃん。」
翔『二宮くんから聞いた。』
「で?開き直って、また、こそこそエッチしてたの?」
翔『だから、やってねぇ、って?』
「どーだかねー。」
翔『とにかく、三人で話そ?な?』
「話す?何を今さら?はっきりしてんのは、二人が俺に隠れてエッチしてた、ってことでしょ?」
翔『だっ…だからそれを…』
いつも冷静で、頭の悪い俺を見下ろすみたいに話をする翔ちゃん。
でも、今はしどろもどろになって俺に一生懸命言い訳しようとしてる。
そんな翔ちゃんの上にいることがこんなにも気持ちいいなんて…。
「もういいって?付き合っちゃえば?って…あれ、翔ちゃん、確か彼女いたんじゃ?」
ちら、と、後ろを振り返って、大野くんを見た。
「…じゃあ、俺、大野くんと付き合ってもいいかなあ…。」