
マリア
第16章 迷走曲
「な、何?」
翔「いや……顔色悪ぃなぁ、と思って?」
「気のせいでしょ?」
翔「ふーん…ま、いいや。」
と、ドアノブに手をかけた。
「あっ!!ち、ちょっと待って、今…」
慌てて櫻井さんを押し退け、ドアの前に立ちはだかる。
翔「何だよ?」
その時だった。
折よく、中からドアが開いて、アイツが顔を覗かせた。
潤「和也く…と、ごめん、君は…?」
翔「あ…俺、智くんの幼馴染みの櫻井、っ、て言います。あの…智くん、どんな様子ですか?」
潤「思ったより元気だよ?」
翔「そうですか?」
潤「顔、見てく?」
翔「あ、はい。」
と、アイツは櫻井さんをすんなり中へ招き入れた。
え…?もういいの?
俺も櫻井さんの後に続いて中に入った。
智「あっ!!翔くん。」
翔「智くん!!…よかった、元気そうで…」
智「ごめんね?心配かけて?」
翔「あ…いや、そんなこと…な、なあ?」
「えっ!?あ、そう…ですね?」
ことの張本人二人、慌てて頷き合う。
潤「今日のところは、大野くんさえ良ければ家に帰れるけど…どうする?」
翔「大事とって二宮んちに泊まらせてもらえばいーじゃん?」
「は?なにそれ?大事とって俺んち、って?何?」
翔「だから、お前んちが一番無難だ、ってことだろが?」
「何だよ!?無難、て?」
でも、意外なところから、この男に助け船が。
潤「僕もそれがいいと思う。」
「え…?」
