
マリア
第16章 迷走曲
アイツの両手のひらが俺の頬を包み込み、
アイツから目を逸らすが出来なくなってしまう。
潤「彼を抱いてやれ、と言ったのは君だよ?」
「あ……」
…言った。確かに言った。
お前の事を好きみたいだから抱いてやれ、って?
それにしたって…
「アンタはいい大人なんだし、メンタルに関しては専門でしょ?」
潤「コントロールしろ、ってこと?」
「当たり前じゃない?例え、相手が誘ってきたとしても抑えんのが大人でしょ?」
潤「…違いない。」
自嘲気味に笑うと、ヤツは顔を間近に近づけてきて、俺の唇を奪った。
「何?俺とヤりたいの?」
潤「そう言われると何だかヤりたくなってきたな?」
この男らしからぬ言い回し。
そうこうしていると、また、
唇を塞がれる。
「ふぅっ……んっ……ふっ…」
それだけじゃない。
俺のセーターの裾をたくしあげてきた。
「ちょっと…っ、俺はヤる、って言ってないじゃない?」
潤「俺がヤりたくなったんだ。」
「上に大野さんが…あっ…」
有無を言わさず、露にした胸の先に吸い付いてきた。
「や……やだ…やめ…っ…!」
元々快楽に正直な体。
言葉とは裏腹に、
甘い蜜の味を植え付けた男の腕の中に、また、
溺れていった。
