
マリア
第16章 迷走曲
智side
遅いな?二宮くん。
リビングのソファーに胡座をかいてぼんやりテレビを見ていたら、
かれこれ二時間以上たっていた。
ここからコンビニ、ってそんな遠いところにあったったけ?とか、思いながら、
時々沸き起こる、テレビの喧騒に耳を傾けていた。
あちこちとテレビのチャンネルを変えることにも飽きて、テレビを消そうとした時だった。
和「ふー、すいませんね?遅くなっちゃって?」
よっこらしょ、と、大量のパンやらおにぎりやら弁当、
さらにはデザートまで、二宮くんは買い込んでいた。
「え?こんなに?」
僕、そんな食べないのに…。
和「自称アナタの大ファン、という方から連絡があって、明日、お迎えに来るそうですよ?」
「もしかして、翔くんの分も?」
和「ええ。よく食べると伺ってるんで。あの、童顔大食漢の分も。」
どれ食べます?と、
袋の中身を僕に向けて見せてくれた時だった。
あれ…この香りどこかで…?
二宮くんからフワリとスパイシーな花の香りが漂う。
和「どうしました?イヌみたいに鼻を鳴らして?」
「ん?いい香りがするなあ、と思って?」
