
マリア
第16章 迷走曲
「もー、恥ずかしいよぉ。」
真っ赤になって俯く僕に、二宮くんは真剣な顔で言った。
和「…そうやって照れるのは勝手ですけど、スキだらけですからね?」
「えっ!?」
和「俺と一緒で極上の美人なんだから気を付けてくださいよ?」
「ふふっ。そうだね?」
と、笑い合い、見つめ合いながらコーヒーを飲んだ。
その夜は、
ソファーで寝る、という二宮くんを引き留め、同じベッドで眠った。
でも、途中何度も目が覚めて、
二宮くんから漂う、あの、例の花の香りが気になって、
眠れなかった。
どこでだっけ?
家で、お父さんが付けてたコロンの香り…だっけ?
じゃ、なくて…
あ……!
潤『その目……その目を見ると止まらなくなる。』
先生……!?
でも、何で?
何で二宮くんから?
寝返りを打ってこちら側に向いた二宮くんの顔を見つめた。
でも、二宮くん、先生とそんなに仲良くなさそうだから、
僕のことで文句言いに行ってくれてたのかも?
などと、僕は、
最初は、人のいいことを考えていたんだ。
