テキストサイズ

マリア

第17章 序曲 ①



翔side



小気味良い包丁の音が聞こえていた、と思ったら、


急に二人で笑い出したりして並んでキッチンに立つ後ろ姿から目が逸らせない。



しかも、チラチラと俺の顔見ながら笑ってるし…



どーせ、撫で肩とか、童顔大食漢とか言ってんだろ?



まあ、食うは食うから間違いじゃないけど?



しばらく、ボケッとして視線の定まらないしまりない顔をしていると、



誰かのスマホが鳴った。



智「あっ!もしかして、僕の?」



慌てて智のスマホのパネルを見ると、『先生』と表示されていた。



濡れた手をエプロンで拭きながらこちらに向かってくる智にスマホを手渡す。



智「ありがと。」



スマホを耳にあてながら部屋の隅に移動し、楽しそうに話し始めた。



智のやつ、アイツのこと未だに先生、って呼んでるのか…



「………。」



アノ真っ最中でもそうなんだろうか、などと考えていると、



甘ったるい声で智が『先生』と呼ぶ声が聞こえた。


聞くに耐えなくて、



帰ろうと立ち上がった時、キッチンにいたはずの二宮がいつの間にか隣に立ってた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ